あなたは「爾」という漢字を見て、「何て読むの?」と戸惑ったことはありませんか?結論から言うと、「爾」の読み方は音読みで「ジ」「ニ」、訓読みで「なんじ」「その」「しかり」です。この記事を読むことで、「爾」の読み方はもちろん、意味・成り立ち・熟語・名前での使い方まですべてわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.「爾」の読み方一覧|音読み・訓読み・名のりをわかりやすく紹介

「爾」は日常生活であまり見かけない漢字ですが、人名や古典、熟語の中ではよく使われています。
まずは「爾」のすべての読み方を整理して確認していきましょう。
読み方の種類が多い漢字ですので、ここでしっかり把握しておくと、今後「爾」に出会ったときにスムーズに読めるようになります。
「爾」の音読み:「ジ」と「ニ」の使い分け
「爾」の音読みは「ジ」と「ニ」の2つがあります。
「ジ」は漢音(中国の漢代に伝わった読み方)で、「ニ」は呉音(それ以前に伝わった読み方)です。
現代日本語の熟語では、「ジ」の読みが圧倒的に多く使われます。
たとえば「爾来(じらい)」「爾後(じご)」「莞爾(かんじ)」など、日常でも目にする熟語はすべて「ジ」の読みです。
一方、「ニ」の読みは仏教用語など限られた場面で使われることがあります。
たとえば浄土真宗の「自然法爾(じねんほうに)」という言葉では「ニ」と読みます。
日常的には「ジ」の読みを覚えておけばほとんどのケースに対応できますが、仏教や古典に触れる際は「ニ」の読みも知っておくと安心です。
「爾」の訓読み:「なんじ」「その」「しかり」の意味と用法
「爾」の訓読みには「なんじ」「その」「しかり」「のみ」などがあります。
それぞれの読み方と意味の対応は次のとおりです。
| 訓読み | 意味 | 用法の例 |
|---|---|---|
| なんじ | あなた・おまえ(二人称代名詞) | 「爾(なんじ)、何をか求めん」 |
| その | それ・その(指示語) | 「爾後(そのご)」と同義で使用 |
| しかり | そのとおりである(肯定) | 「莞爾(かんじ)として笑う」 |
| のみ | ~だけ(限定・断定) | 漢文の文末で断定を示す |
漢文や古典の文章では「なんじ」と読む場面が最も多く、相手を指す二人称代名詞として使われてきました。
一方、「しかり」は状態を表す助字として、形容詞の後ろに添えて使われるケースが多いです。
「爾」の名のり読み:名前に使われる「ちか」「み」「みつる」など
「爾」は人名用漢字に指定されており、名前に使うことができます。
名前で用いられる特別な読み方(名のり)には、次のようなものがあります。
- あきら
- しか
- ちか・ちかし
- み・みつる
これらの読み方は一般的な辞書には載っていないことも多く、名前専用の読み方です。
特に「みつる」は一文字名として使われることがあり、読みやすいため人気があります。
また、名前の二文字目に「爾」を置いて「〜じ」と読むケースも非常に多く見られます。
たとえば「健爾(けんじ)」「征爾(せいじ)」「哲爾(てつじ)」などが代表的な例です。
2.「爾」の意味と成り立ち|漢字の由来を知ると読み方が覚えやすい

読み方を覚えるうえで、漢字の意味や成り立ちを理解しておくことはとても効果的です。
「爾」がどのような漢字なのか、背景を知ることで記憶に定着しやすくなります。
「爾」の漢字が持つ4つの意味(なんじ・その・しかり・のみ)
「爾」には大きく分けて4つの意味があります。
- なんじ(汝):「あなた」「おまえ」を指す二人称代名詞。「爾汝(じじょ)」という熟語でも使われます
- その・それ:近くにある物事や、前に述べた事柄を指し示す言葉。「爾後」「爾来」はこの意味から生まれた熟語です
- しかり:「そのとおりである」「そのように」という肯定の意味。修飾語に添える助字として使われます
- のみ:「~だけ」という限定や断定を表す助字。漢文の文末で見かける使い方です
このように「爾」は実質的な意味を持つ使い方(なんじ・その)と、文法的な働きを持つ助字としての使い方(しかり・のみ)の両方を持っている漢字です。
特に「なんじ」の意味は、漢文の世界では非常に重要な役割を果たしています。
「爾」の部首・画数・漢検級などの基本情報
「爾」の漢字としての基本データは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部首 | 爻(まじわる/めめ) |
| 画数 | 14画 |
| 漢字検定 | 準1級 |
| JIS水準 | 第1水準漢字 |
| 種別 | 人名用漢字 |
| 新字体 | 尓(簡略化された形) |
漢字検定では準1級に分類されており、大学・一般レベルの漢字とされています。
日常的な文章ではあまり使われないため難しく感じますが、人名や熟語では意外と目にする機会がある漢字です。
また、「爾」の簡略化された字体として「尓」があることも覚えておくと、古い文献を読むときに役立ちます。
「爾」の成り立ちと字源から読み方を理解する
「爾」の成り立ちについては象形文字であるとされ、諸説あります。
一説では、糸を巻き取る道具(檷)の形を元にした文字で、そこから仮借(意味を借りて別の用途に使うこと)によって「なんじ」の意味で使われるようになったと考えられています。
また、白川静の「字通」によれば、人の正面の上半身に装飾的な文様を施した形を表しているとも解釈されています。
この説では、儀礼に関わる文身(入れ墨)の文化と関連があり、「爽」や「奭」といった漢字とも同じルーツを持つとされます。
字源を知ると、「爾」がもともと人に関わる漢字であったことがわかり、「なんじ(あなた)」という二人称代名詞の意味とも自然につながります。
漢字の背景を理解しておくと、複数ある読み方や意味の関連性が見えてきて覚えやすくなるのがポイントです。
3.「爾」を使った熟語・ことわざの読み方と意味

「爾」は単独で使われることは少なく、多くの場合は熟語や慣用句の中で登場します。
ここでは、よく見かける熟語やことわざを取り上げて、読み方と意味をまとめます。
よく使われる熟語:「爾来」「爾後」「莞爾」などの読み方
「爾」を含む代表的な熟語を一覧で紹介します。
| 熟語 | 読み方 | 意味 |
|---|---|---|
| 爾来(じらい) | じらい | それ以来、その後ずっと |
| 爾後(じご) | じご | それから後、その後 |
| 爾余(じよ) | じよ | そのほか、それ以外 |
| 莞爾(かんじ) | かんじ | にっこりと微笑むさま |
| 卒爾(そつじ) | そつじ | 突然であるさま、不意に |
| 爾汝(じじょ) | じじょ | 互いに「おまえ」と呼び合うこと |
「爾来」は特に読み間違いが多い熟語で、「とうらい」と誤読されることがあります。
正しくは「じらい」で、「それ以来」という意味です。
ビジネス文書や改まった文章で「爾来、変わらぬご愛顧をいただき…」のように使われることがあるため、社会人として押さえておきたい読み方です。
また、「莞爾(かんじ)」は「にっこり笑うさま」を表す美しい日本語で、小説や随筆で見かけることがあります。
「爾」が付くことわざ「爾に出ずるものは爾に返る」の意味
「爾」が使われた有名なことわざに、「爾に出ずるものは爾に返る(なんじにいずるものはなんじにかえる)」があります。
これは「自分が他人に対して行ったことは、やがて自分に返ってくる」という意味のことわざです。
「爾」が「なんじ=あなた」を意味することがわかっていれば、このことわざの意味も自然に理解できます。
善い行いも悪い行いも自分に戻ってくるという教訓は、「因果応報」と同じ考え方です。
古くから漢文の世界で使われてきた表現ですが、現代でも人間関係の教訓として引用されることがあります。
漢文・古典で見かける「爾」の読み方と使われ方
漢文の授業や古典の文章で「爾」に出会うことがあります。
漢文では主に次の3つのパターンで使われます。
- 二人称代名詞として:「爾(なんじ)何をか求めん」→「あなたは何を求めるのか」
- 指示語として:「爾(しか)り」→「そのとおりである」
- 助字として:「莞爾(かんじ)として笑う」→「にっこりと笑う」
漢文の読み下し文では、「爾」は文脈によって「なんじ」「しかり」「しか」と読み分ける必要があります。
特に高校の漢文では「爾」が二人称として出題されることがあるため、「爾=なんじ=あなた」というセットで覚えておくと試験対策にも役立ちます。
また、漢文の助字としての「爾」は、単独で大きな意味を持つわけではなく、前の語の状態を補助する働きをしているのが特徴です。
4.「爾」の読み方を活かす!名前に使うときのポイントと実例

「爾」は1951年5月から人名用漢字として認められており、名付けに使える漢字です。
古風で品格のある雰囲気を持つ「爾」は、男の子の名前を中心に根強い人気があります。
「爾」を使った男の子の名前と読み方の具体例
「爾」を使った名前の多くは、名前の二文字目に「爾」を置いて「〜じ」と読むパターンです。
代表的な名前の例を紹介します。
- 健爾(けんじ):健やかで力強い印象
- 征爾(せいじ):志高く前へ進むイメージ
- 哲爾(てつじ):知的で思慮深い印象
- 秀爾(しゅうじ):優れた才能を表現
- 莞爾(かんじ):にっこり笑う穏やかなイメージ
- 卓爾(たくじ):抜きん出た存在感を示す
一文字名としては「爾(みつる)」があり、こちらは名のり読みを使った名前です。
「みつる」は「満ちる」に通じるため、豊かさや充実した人生を願う意味が込められます。
<span style="color:red">名前に使う場合は、読みやすさも考慮することが大切です。</span>
「爾」は画数が14画と多いため、組み合わせる漢字とのバランスを考えると見栄えのよい名前になります。
「爾」に込められる願いや名付けのイメージ
「爾」を名前に使う場合、漢字そのものの意味からは直接的な願いは読み取りにくい面があります。
しかし、「爾」には古風で品格のある雰囲気があり、名付けでは次のようなイメージで使われることが多いです。
- 古風・和風な響きで、日本の伝統を大切にする印象
- 凛とした佇まいや、言葉に責任を持つ誠実さ
- 人との深いつながりを大切にする温かさ(「爾汝の交わり」から連想)
「爾汝(じじょ)の交わり」は互いに「おまえ」と呼び合うほど親密な関係を意味する慣用句です。
この言葉から、「爾」には人と人との深い絆や信頼関係を築いてほしいという願いを込めることもできます。
また、「莞爾」のイメージから穏やかな笑顔で人に接する人になってほしいという思いを込める方もいます。
「爾」と似た漢字「璽」「邇」「彌」との読み方の違いに注意
「爾」を含む漢字や見た目が似ている漢字は意外と多く、読み間違いに注意が必要です。
混同しやすい漢字を比較してみましょう。
| 漢字 | 読み方 | 意味 | 関係性 |
|---|---|---|---|
| 爾 | ジ・ニ/なんじ | あなた・その・しかり | ― |
| 璽(じ) | ジ/しるし | 天子の印鑑 | 「爾」+「玉」の形声文字 |
| 邇(じ) | ジ・ニ/ちかい | 近いところ | 「爾」+「辶」の形声文字 |
| 彌(み) | ミ・ビ/いよいよ | 広く・いつまでも | 「弓」+「爾」の形声文字。弥の旧字体 |
| 禰(ね) | ネ・デイ | 父の霊廟 | 「爾」+「示」の形声文字 |
「璽」「邇」「彌」「禰」はいずれも「爾」を音符(声符)として含む形声文字です。
つまり「爾」の発音の要素を受け継いでいますが、部首が異なることで意味がまったく違います。
特に「璽(じ)」は「御璽(ぎょじ)」「国璽(こくじ)」など天皇の印鑑に関する言葉で使われる重要な漢字です。
<span style="color:red">「爾」と「璽」は上部の形がほぼ同じですが、「璽」には下に「玉」が付くのが見分けるポイントです。</span>
これらの関連漢字を一緒に覚えておくと、漢字の知識が広がり、読み間違いも防げるようになります。
まとめ
「爾」の読み方について、この記事のポイントを振り返ります。
- 「爾」の音読みは「ジ」と「ニ」で、日常的には「ジ」が多く使われる
- 訓読みは「なんじ」「その」「しかり」「のみ」の4種類がある
- 名のり読みとして「あきら」「ちか」「み」「みつる」などがあり、名前に使える
- 4つの意味は、二人称代名詞・指示語・肯定の助字・限定の助字に分けられる
- 部首は「爻」、画数は14画、漢検準1級の人名用漢字である
- 「爾来(じらい)」「莞爾(かんじ)」などの熟語は読み間違いに注意が必要
- ことわざ「爾に出ずるものは爾に返る」は因果応報と同じ意味を持つ
- 漢文では「なんじ=あなた」の意味で頻出する重要な漢字である
- 名前では「〜じ」と読むパターンが多く、古風で品格のある印象を与える
- 「璽」「邇」「彌」は「爾」を含む関連漢字で、それぞれ意味と読みが異なる
「爾」は見慣れない漢字ですが、読み方と意味を一度整理すれば決して難しくありません。
漢文や名前、熟語の場面で「爾」に出会ったとき、この記事の内容を思い出していただければ嬉しいです。
ぜひ今日から「爾」を自信を持って読める漢字のひとつに加えてください。
関連サイト:漢字ペディア(日本漢字能力検定協会公式)