あなたは「転々とする」という言葉の正しい意味や使い方に迷ったことはありませんか?結論から言うと、「転々とする」には「次々と場所や状態が移り変わる」という意味と「ころがっていく」という意味の2つがあります。この記事を読むことで、意味・例文・類語・英語表現まで幅広く理解できるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.「転々とする」の意味と読み方

「転々とする」の基本的な意味とは
「転々とする」とは、一つの場所や状態に長くとどまらず、次々と移り変わることを表す日本語の表現です。
たとえば、仕事を短い期間で何度も変える人や、住む場所を次々と変えて移動し続ける人の様子を表すときに使われます。
日常会話でもビジネスシーンでもよく登場する言葉で、「職を転々とする」「各地を転々とする」といった形で幅広く使われています。
もともとは「転」という漢字が持つ「ころがる」「まわる」というイメージから生まれた表現で、一ヶ所にとどまらずに動き続けるニュアンスが込められています。
「転々とする」の読み方と漢字表記の注意点
「転々とする」の読み方は「てんてんとする」です。
漢字では「転々」と書きますが、「転転」と表記されることもあります。
どちらも意味は同じですが、一般的には「転々」と「々」(踊り字)を使った表記が主流です。
なお、「転々した」という表現は文法的に不自然とされています。
正しくは「転々とした」のように「と」を挟むのが自然な使い方です。
「転々とした生活」「転々とした日々」のように、「と」を省略せずに使うことを意識しましょう。
「転々とする」が持つ2つの意味の違い
「転々とする」には、大きく分けて2つの意味があります。
-
意味①:次々と移り変わるさま
- 人や物事がある場所・状態から別の場所・状態へと次々と移っていくことを表します
- 例:「彼は職を転々としてきた」「住居を転々とする生活を送る」
-
意味②:ころがっていくさま
- 物体が転がって移動する物理的な動きを表します
- 例:「ボールが外野を転々とした」「石が坂道を転々と転がった」
日常的に使われる頻度が高いのは意味①の「次々と移り変わる」の方です。
意味②は主にスポーツの実況や物語の描写など、限られた場面で使われる傾向があります。
この2つの意味を混同しないように、文脈をしっかり確認して使い分けることが大切です。
2.「転々とする」の使い方と例文

「職を転々とする」など仕事に関する使い方
「転々とする」が最もよく使われるのは、仕事や職場に関する文脈です。
短期間で何度も転職を繰り返す人や、一つの会社に定着できない状況を表現するときに用いられます。
- 「彼は20代の頃から職を転々としてきた」
- 「正社員になれず、アルバイト先を転々とする日々が続いた」
- 「会社を転々とした経験が、結果的にさまざまなスキルにつながった」
なお、「職を転々とする」という表現は、ややネガティブな印象を与えることが多いです。
転職回数が多いこと自体を問題視するニュアンスが含まれやすいため、自分の経歴を説明するときは「さまざまな業界で経験を積んだ」など、ポジティブな言い換えを検討するのも一つの方法です。
「各地を転々とする」など場所に関する使い方
住む場所や滞在先が次々と変わる状況を表すときにも「転々とする」はよく使われます。
- 「転勤が多く、各地を転々とする生活を送っている」
- 「戦時中、家族は疎開先を転々とした」
- 「バックパッカーとして世界各国を転々としている」
場所に関する使い方では、自分の意思で移動している場合と、やむを得ず移動している場合の両方があります。
旅や冒険のように前向きなニュアンスで使われることもあれば、逃亡や不安定な生活を暗示するケースもあるため、文脈に応じた読み取りが必要です。
「各地を転々とする」「ホテルを転々とする」「知人宅を転々とする」など、移動先を示す名詞と組み合わせるのが基本的なパターンです。
「ボールが転々とする」など物が転がる意味での使い方
「転々とする」には、物体が地面や床の上をころころと転がっていく様子を表す意味もあります。
- 「打球は外野を転々とした」
- 「階段から落ちたリンゴが廊下を転々と転がった」
- 「風に吹かれて空き缶が道路を転々としていた」
この用法は、野球の実況中継で特によく耳にする表現です。
打球がフェンスまで転がっていくシーンなどで「ボールは外野を転々とする」と実況されることがあります。
意味①の「移り変わる」と違い、こちらは物理的な動きを描写している点が特徴です。
文章や会話で使うときの注意点
「転々とする」を使ううえで、知っておきたい注意点がいくつかあります。
まず、「転々とする」はやや文語的な響きを持つ表現です。
日常のカジュアルな会話では「ころころ変わる」「あちこち移る」といった表現の方が自然に聞こえる場合もあります。
また、先ほど触れたように、「転々する」ではなく「転々とする」が正しい形です。
「と」を省略すると不自然な日本語になってしまうため、書き言葉でも話し言葉でも「と」を忘れないようにしましょう。
さらに、「転々とする」はネガティブな印象を持たれやすい言葉でもあります。
<span style="color:red">特に就職面接や自己紹介の場面では、「転々とした」と表現するよりも「幅広い経験を積んだ」「多くの環境で学んできた」とポジティブに言い換える工夫が効果的です。</span>
3.「転々とする」の類語・言い換え表現

「渡り歩く」「流れ歩く」との意味の違い
「転々とする」と似た意味を持つ代表的な類語が「渡り歩く」と「流れ歩く」です。
それぞれの違いを表にまとめました。
| 表現 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 転々とする | 次々と場所や状態が移り変わる | 中立〜やや不安定な印象 |
| 渡り歩く | 仕事や居場所を求めて移り住む | 目的を持って移動するイメージ |
| 流れ歩く | あちこちをさすらい歩く | あてのない放浪の印象 |
「渡り歩く」は、「包丁一本で全国を渡り歩く」のように、技術や目的を持って各地を移動するニュアンスが含まれます。
「転々とする」よりもやや能動的で、職人やプロフェッショナルの行動を表すときに好んで使われます。
一方、「流れ歩く」は、「日本中を流れ歩く」のように、あてもなくさすらうイメージが強い表現です。
「転々とする」よりも漂泊感が強く、文学的な文章や物語の中で使われることが多い傾向があります。
「放浪する」「漂泊する」との使い分け
「放浪する」と「漂泊する」も「転々とする」に近い意味を持ちますが、それぞれニュアンスが異なります。
「放浪する」は、定まった住居や目的地を持たずにあちこちを歩き回ることを意味します。
「若い頃は海外を放浪していた」のように、自由で冒険的な響きを持つことが多い言葉です。
「漂泊する」は、「放浪する」よりもさらに文学的で格調のある表現です。
「漂泊の人生」「漂泊の旅」のように使われ、人生そのものが定まらない深いニュアンスを含みます。
- カジュアルな場面では「転々とする」や「ころころ変わる」
- フォーマルな場面では「渡り歩く」や「遍歴する」
- 文学的な場面では「放浪する」や「漂泊する」
このように、場面やトーンに合わせて使い分けると表現力が高まります。
ビジネスシーンで使える言い換え表現
ビジネスの場面で「転々とする」をそのまま使うと、不安定な印象を与えてしまうことがあります。
特に履歴書や職務経歴書、面接では、以下のような表現に言い換えるのがおすすめです。
- 「さまざまな業界で経験を重ねてきました」
- 「多様な環境でスキルを磨いてきました」
- 「幅広いフィールドでキャリアを積んできました」
<span style="color:red">「転々とする」のネガティブな印象を避けながら、多くの経験を積んだことをアピールするには、「経験を重ねる」「キャリアを積む」「多様な環境で成長した」といった前向きなフレーズに置き換えることがポイントです。</span>
逆に、第三者の行動を客観的に描写する報告書やレポートでは、「転々とする」をそのまま使っても問題ありません。
状況を正確に伝えるために、あえてニュートラルな表現として活用するケースもあります。
4.「転々とする」の英語表現と使い分け

「bounce around」を使った英語表現
「転々とする」を英語で表現するときに最もよく使われるフレーズの一つが「bounce around」です。
「bounce」は「跳ねる」「弾む」という意味で、「around」と組み合わせることで「あちこちを飛び回る=転々とする」というニュアンスになります。
- "He has been bouncing around from job to job for years."
- (彼は何年も職を転々としている)
- "She bounced around from city to city after college."
- (彼女は大学卒業後、都市を転々とした)
「bounce around」はカジュアルな口語表現で、日常英会話でよく使われます。
ただし、フォーマルなビジネス文書には向かないため、使う場面には注意が必要です。
「hop from ○○ to ○○」を使った英語表現
もう一つの代表的な表現が「hop from A to A」です。
「hop」は「ぴょんと飛ぶ」という意味で、ある場所から別の場所へ軽やかに移動するイメージを表します。
- "He has been hopping from job to job since graduating."
- (彼は卒業以来、職を転々としている)
- "They hopped from hotel to hotel during their trip."
- (彼らは旅行中にホテルを転々とした)
「hop from job to job」は「bounce around from job to job」とほぼ同じ意味ですが、「hop」の方がより軽やかで、テンポよく移り変わるニュアンスがあります。
また、「job-hopper」(ジョブホッパー)という名詞も英語圏でよく使われ、「職を転々とする人」を指します。
場面に合わせた英語フレーズの選び方
「転々とする」を英語で表現する方法は複数あり、場面によって使い分けると効果的です。
| 英語表現 | ニュアンス | 適した場面 |
|---|---|---|
| bounce around | カジュアルに転々とする | 日常会話 |
| hop from A to A | 軽快に次々と移る | 日常会話・軽いビジネス |
| move around | 住所や仕事を移動する | 日常〜ややフォーマル |
| drift from A to A | あてもなくさまよう | 文学的・感傷的な場面 |
| change jobs frequently | 頻繁に仕事を変える | フォーマル・ビジネス |
カジュアルな場面では「bounce around」や「hop from A to A」が自然です。
ビジネスや公式な文書では「change jobs frequently」「move from position to position」のように直接的な表現を選ぶとプロフェッショナルな印象を与えられます。
また、文学的な表現やエッセイでは「drift from place to place」のように、漂うニュアンスを持つ「drift」を使うと情緒的な雰囲気が出ます。
<span style="color:red">英語で「転々とする」を表現するときは、相手との関係性や文書のフォーマル度に合わせて、適切なフレーズを選ぶことが大切です。</span>
まとめ
- 「転々とする」の読み方は「てんてんとする」で、「転々」または「転転」と表記される
- 意味は「次々と移り変わるさま」と「ころがっていくさま」の2つがある
- 日常で多く使われるのは「職を転々とする」「各地を転々とする」など移り変わりの意味
- 「転々する」ではなく「転々とする」が正しい文法
- 類語には「渡り歩く」「流れ歩く」「放浪する」「漂泊する」などがある
- 「渡り歩く」は目的を持った移動、「流れ歩く」はあてのないさすらいのニュアンス
- ビジネスシーンでは「経験を重ねる」「キャリアを積む」といった前向きな言い換えが効果的
- 英語では「bounce around」「hop from A to A」がカジュアルな場面で使える
- フォーマルな英語では「change jobs frequently」が適している
「転々とする」は、使い方次第でさまざまな場面に対応できる便利な日本語表現です。
意味の違いや類語との使い分けを正しく理解しておけば、文章にも会話にも自信を持って使えるようになります。
ぜひこの記事を参考に、日本語の表現力をさらに磨いていきましょう。
関連サイト
文化庁 国語施策・日本語教育