あなたは「電験三種の難易度って実際どれくらいなんだろう」と思ったことはありませんか?結論、電験三種の難易度は偏差値60~64程度で、MARCHレベルの大学と同程度です。この記事を読むことで電験三種の難易度や合格率、さらに大学生が取得するメリットがわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
Contents
1.電験三種の難易度は大学でいうとどのレベル?
電験三種の偏差値は60~64程度
電験三種の難易度を偏差値で表すと、60~64程度とされています。
これは資格試験の合格に必要な勉強時間と、大学受験での偏差値の数値を照らし合わせて算出されたものです。
電験三種は合格率が10%前後という難関資格であり、必要な勉強時間は約1,000時間といわれています。
この勉強量と難易度から、電験三種は偏差値60~64程度の資格として位置づけられているのです。
ただし、あくまでも目安であり、電験三種と大学入試は性質が全く異なる試験であるため、正確な比較はできません。
MARCHレベルの大学入試と同程度の難易度
電験三種の難易度は、MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)レベルの大学入試と同程度です。
MARCHの偏差値は60~64であるため、電験三種試験の難易度と一致します。
電験三種試験に合格できる学力があれば、MARCHレベルの大学に合格できる可能性があるといえるでしょう。
逆に、MARCHレベルの大学に在籍している学生であれば、しっかりと対策をすれば電験三種の現役合格も十分可能です。
ただし、大学入試は幅広い教科を総合的に問われますが、電験三種は電気や物理に関する専門的な知識と計算力が重視されます。
地方国立大学の工学部と比較した場合
電験三種の難易度を国立大学と比較すると、地方の中堅国立大学の合格ラインに近い水準といえます。
たとえば、電気電子系の学科を持つ地方国立大学(長岡技術科学大学、群馬大学、山口大学など)の入試難易度と比較すると、大きな差はないと感じる人も多いです。
国立大学の工学部に合格できる学力があれば、電験三種の合格も現実的に狙えるでしょう。
ただし、国立大学の入試では求められない電気法規や実務的な知識が電験三種では必要になる点には注意が必要です。
電験三種は電気分野に特化した専門知識の深さと計算力が求められる試験です。
大学入試との違いと注意点
電験三種と大学入試は、試験の性質が大きく異なります。
大学入試は一発勝負ですが、電験三種は科目合格制度があり、3年以内に4科目すべてに合格すればよいという違いがあります。
また、電験三種は受験資格がなく、学歴・年齢・職歴を問わず誰でも受験可能です。
そのため、受験者のバックグラウンドも多様で、高校生から社会人まで幅広い層が挑戦しています。
さらに、電験三種は計算問題の比率が高く、特に理論科目では数式展開やベクトル計算、交流回路の複素数計算など、高校~大学初年度レベルの数学知識が必須です。
偏差値の数字はあくまで学習負荷の目安であり、学問領域や出題傾向は大学入試とは大きく異なることを理解しておきましょう。
2.電験三種の合格率から見る難易度の実態
過去5年間の合格率推移と傾向
電験三種の合格率は、過去5年間で約9.8%~21.2%の間で推移しています。
令和元年度は9.8%、令和2年度は9.8%、令和3年度は11.5%と、10%前後の合格率が続いていました。
しかし、令和4年度から試験が年2回実施になり、令和5年度からはCBT方式が導入されたことで、合格率は上昇傾向にあります。
令和5年度下期では合格率が21.2%まで上昇し、近年では最も高い合格率を記録しました。
ただし、令和7年度上期では再び12.9%まで下がるなど、年度によって合格率にばらつきがあります。
それでも、10人に1人しか合格できないという状況は変わっておらず、電験三種が難関資格であることは間違いありません。
令和4年度以降の試験制度変更による影響
令和4年度から電験三種の試験制度が大きく変更され、合格率に影響を与えています。
最も大きな変更は、試験が年1回から年2回(上期・下期)の実施になったことです。
これにより、科目合格制度を利用する受験者にとって、残り5回の試験で4科目をそろえれば合格できるようになりました。
さらに、令和5年度からはCBT方式(パソコンを使った試験)が導入され、受験機会がさらに拡大しました。
CBT方式では、所定の期間内に試験会場と試験日時を自由に選択でき、科目ごとに別日に受験することも可能です。
これらの制度変更により、受験者にとって合格しやすい環境が整ってきています。
試験自体の難易度は大きく変わっていないため、科目合格した人の割合は毎年30%前後で安定しています。
科目別の合格率と難易度の違い
電験三種の4科目の中でも、科目ごとに合格率と難易度に違いがあります。
令和7年度上期の科目別合格率(4科目合格者を除く)は、理論科目14.0%、電力科目17.4%、機械科目9.9%、法規科目11.8%でした。
一般的に、機械科目が最も難易度が高いとされており、出題範囲が広く専門知識が必要な問題が多く出題されます。
理論科目は計算問題が8~9割を占めており、電験三種の中で最も計算問題の比率が高い科目です。
電力科目は計算問題が4~5割程度で、発電・送電・配電に関する文章問題も多く出題されます。
法規科目は電気に関する法律問題が中心ですが、計算問題も出題されるため油断できません。
どの科目も出題範囲が広く、専門的な知識が求められるため、すべての科目でバランスよく勉強する必要があります。
他の国家資格との合格率比較
電験三種の合格率を他の難関国家資格と比較してみましょう。
宅地建物取引士(宅建)の合格率は15~20%程度、行政書士は10~15%程度、社会保険労務士は6~7%程度です。
一級建築士の合格率は10%前後、公認会計士試験も10%前後となっています。
これらの数字から、電験三種の合格率10%前後は、難関国家資格の中でも低い水準にあることがわかります。
ただし、電験三種は受験資格がないため、準備が不十分な受験者も多く含まれることが合格率の低さに影響しています。
それでも、宅建や行政書士といった人気資格よりも合格率が低いことから、電験三種が非常に難しい試験であることは間違いありません。
電験三種は、必要な勉強時間が約1,000時間とされており、宅建の300~500時間に比べると約2倍の学習時間が必要です。
3.電験三種が難しいとされる4つの理由
4科目すべてが異なる専門分野で出題範囲が広い
電験三種の最大の特徴は、4つの科目が全く異なる知識領域で構成されている点です。
理論では電気回路、電磁気学、交流理論など基礎物理と応用電気の融合問題が出題されます。
電力では発電、送電、配電の仕組みや設備に関する知識が求められます。
機械では変圧器、誘導機、直流機、同期機などの電気機器に関する幅広い知識が必要です。
法規では電気事業法、電気工事士法、電気設備に関する技術基準などの法令について出題されます。
各科目の出題範囲が広く、すべての科目で専門的な知識を身につけなければなりません。
理論の計算問題をたくさん解きながら、機械の原理を一生懸命理解し、そして電気の法律を頭に叩き込む必要があります。
どの科目も出題範囲が広く、手を抜ける科目は1つもありません。
計算問題の比率が高く数学力が必須
電験三種は計算問題の比率が高く、特に理論科目では8~9割が計算問題です。
数式展開やベクトル計算、交流回路の複素数計算など、高校~大学初年度レベルの数学知識が必須となります。
計算式自体は暗記できても、物理現象や電気的原理を理解していなければ正しいアプローチが取れません。
また、計算過程が複雑で、途中のミスがそのまま不正解につながるため、正確性とスピードの両立が求められます。
数学が苦手な受験者にとっては大きな壁となるため、試験対策の初期段階で計算基礎を固めることが重要です。
公式の丸暗記ではなく、意味を理解して使いこなせるレベルまで習熟することで、本番での対応力が格段に上がります。
中学・高校レベルの数学や理科(電気)の知識があるのが前提となるため、基礎が不足している場合は追加の勉強時間が必要です。
3年以内に全科目合格が必要な制度
電験三種には科目別合格制度がありますが、3年以内に4科目すべてに合格しなければなりません。
1つの科目に合格しても、その後2年間(令和4年度以降は5回の試験)で残りの科目に合格できなければ、合格した科目も無効になります。
社会人として働きながら4科目の膨大な出題範囲を勉強しなければならないため、長期戦になりがちです。
モチベーションの維持が大変な資格であり、途中で挫折してしまう人も少なくありません。
ただし、科目合格制度を戦略的に活用すれば、一発合格を狙うよりもはるかに余裕を持って勉強できます。
たとえば、1回の受験につき1科目ずつ合格するという計画なら、半年の勉強時間は250時間で済みます。
毎日1時間半の勉強時間で、通勤の行き帰りの電車内で30分+朝と夜のどちらかに1時間でクリアできる現実的な時間です。
受験資格がないため幅広い層が受験
電験三種は受験資格が一切なく、学歴・年齢・職歴を問わず誰でも挑戦できます。
この開かれた制度が、電気分野に興味を持つ若年層の受験者増加につながっています。
しかし、受験資格がないため、合格の実力に満たない受験者も腕試しなどで受験することがあります。
これが、電験三種の合格率が低くなっている理由の1つです。
受験に制限がある資格(たとえば社会保険労務士は大学卒などの学歴や3年以上の実務経験が必要)と比べると、準備が不十分な受験者の割合が高くなります。
また、一発合格ではなく科目合格を目指している受験者も多いため、受験者の人数が増え、結果的に合格率が低くなっています。
それでも、制度的なハードルが低いことは、高卒や高校生にとって大きなチャンスとなっています。
4.大学生が電験三種を取得するメリット
就職活動で圧倒的に有利になる理由
電験三種を取得していることで、就職活動において高い評価を得やすくなります。
特に電気・機械・インフラ関連の業界では、電験三種保持者は即戦力として見なされることも少なくありません。
難関資格を在学中に取得したという事実自体が、計画性・努力・専門性の証明になります。
文系・理系問わず企業からの関心を集める武器になり、他の学生と差別化を図れる絶好のチャンスです。
電験三種は電気設備の保安監督業務という独占業務を持つ国家資格です。
そのため、未経験でも重宝される可能性が高く、就職の選択肢が大きく広がります。
求人内容は、工場内の受変電設備の保全・点検業務や、太陽光発電所の保守管理業務など多様です。
自身の興味のある現場で働ける可能性があり、キャリアの幅が広がります。
資格手当による収入アップの可能性
電験三種を取得すると、企業によって資格手当を得られることがあります。
資格手当の相場は、月額5,000円~15,000円程度とされています。
支給の仕方には、手当が毎月付くケースや、1年で複数回に分けて支給されるケースなどさまざまです。
電験三種は一度取得すれば資格更新が不要のため、制度がある限りは継続的に資格手当をもらうことが可能です。
年間にすると60,000円~180,000円の収入アップになり、長期的に見ると大きな金額になります。
また、電験三種取得者の平均年収は400万~500万円程度で、日本の平均給与と同等かそれ以上を狙えます。
企業によっては600万~1,000万円を提示しているケースもあり、将来的な収入アップが期待できます。
資格手当のある職場で働いて収入をアップさせるためにも、求人へ応募する前にしっかりと確認することをおすすめします。
在学中なら基礎知識を活かせる効率的な学習
大学で理系科目を学んでいる場合、電験三種の学習が非常に効率的になります。
高校物理や数学で学ぶ基礎知識は、電験三種の理論科目と大きく重なります。
在学中に受験することで、学習の効率が高まり、勉強時間を短縮できる可能性があります。
電気工学系や理系出身者の場合、必要な勉強時間は400~600時間程度といわれています。
それ以外の方でも600~800時間程度で、一般的にいわれる1,000時間よりも短い時間で合格を目指せます。
また、就職活動の際に「資格取得中」や「合格済み」と履歴書に記載できれば、企業からの評価も上がります。
大学生のうちにコツコツと勉強を始めることで、無理なく資格取得を目指せるだけでなく、将来の選択肢も広がります。
特に、理系で就職活動に不安がある人、あるいは文系でも技術系の知識をアピールしたい人にとって、電験三種は非常に価値ある資格です。
将来の独立開業への道が開ける
電験三種を取得し、実務経験を積むことで、将来、独立することも可能です。
独立するメリットは、年収アップ、自分に合った働き方の選択、そして定年の概念がないため長期間にわたって働くことができる点です。
独立開業すると、企業で勤めている時よりも働き方が自由になります。
自分のスケジュールや仕事の内容を自ら決めることができ、生涯働き続けることも可能です。
ただし、独立を成功させるには資金だけでなく、豊富な実務経験に基づく営業力や経営力も必要です。
実務経験を積んで顧客との信頼関係を築き、実務スキルを上げることが、年収アップにつながります。
電験三種を取得後に、電験二種、一種や、電験三種と相性の良い資格を取得することで、対応できる業務の幅が広がります。
独立やキャリアアップがしやすくなり、将来の可能性が大きく広がるのです。
まとめ
- 電験三種の難易度は偏差値60~64程度で、MARCHレベルの大学と同程度
- 地方国立大学の工学部と比較しても大きな差はない水準
- 大学入試とは異なり、科目合格制度があるため3年以内に4科目合格すればよい
- 過去5年間の合格率は約9.8%~21.2%で推移し、令和4年度以降は上昇傾向
- 試験制度変更により年2回の試験とCBT方式が導入され合格しやすくなった
- 4科目すべてが異なる専門分野で出題範囲が広いため学習量が多い
- 計算問題の比率が高く、特に理論科目では8~9割が計算問題
- 3年以内に全科目合格が必要でモチベーション維持が課題
- 受験資格がないため準備不十分な受験者も多く合格率が低い
- 就職活動で高い評価を得やすく、電気・機械・インフラ関連業界で有利
- 資格手当は月額5,000円~15,000円程度で継続的な収入アップが可能
- 在学中なら基礎知識を活かせて効率的に学習できる
- 将来的に独立開業も可能で生涯働き続けられる
電験三種は難関資格ですが、計画的に学習すれば大学生でも十分に合格を目指せます。在学中に取得することで就職活動やキャリア形成に大きなアドバンテージになりますよ。ぜひチャレンジしてみてください。
関連サイト
