あなたは古文の「年ごろ」という言葉を見て、「これってどういう意味だろう?」と悩んだことはありませんか?結論、「年ごろ」は「長年の間」「ここ数年」という時間の経過を表す重要な古文単語です。この記事を読むことで年ごろの正確な意味、品詞の使い分け、古典作品での用例、そして現代語訳のコツがわかるようになりますよ。ぜひ最後まで読んでください。
1.年ごろ(としごろ)の基本的な意味

「年ごろ」の正しい読み方
「年ごろ」は「としごろ」と読みます。
古文を学習する際、この単語を「ねんごろ」と読んでしまう間違いが非常に多いです。
「ねんごろ」は「懇ろ」という別の言葉で、「親しい」「丁寧だ」という意味を持つ形容動詞です。
「年ごろ」と「懇ろ」は漢字も読み方も意味も全く異なるので、混同しないように注意しましょう。
試験でも頻出のポイントなので、必ず「としごろ」と覚えてください。
古文における「年ごろ」の複数の意味
古文の「年ごろ」には主に次の意味があります。
- 長年の間、長い年月
- ここ数年、近年
- 年のころ、年齢
最も重要なのは「長年の間」という時間的な意味です。
「ころ」という言葉が「幅のある期間」を意味するため、「年ごろ」は複数年にわたる期間を表現しています。
文脈によって「現在に至るまでの長い期間」を強調する場合と、「ここ最近の数年間」を示す場合があります。
また、人の外見から判断する「年齢」「年のころ」という意味でも使われることがあります。
「としころ」という古い読み方について
平安時代の古い文献では、「年ごろ」を「としころ」と読むこともありました。
この読み方は時代が下るにつれて「としごろ」へと変化していきました。
古語辞典などには「古くは『としころ』とも」と注記されています。
現代の古文学習では「としごろ」という読み方で統一されていますので、基本的には「としごろ」と覚えておけば問題ありません。
ただし、一部の古典作品を原文で読む際には、この古い読み方の知識が役立つことがあります。
現代語の「年ごろ」との意味の違い
現代語の「年ごろ」は主に「結婚適齢期」「思春期」といった特定の年齢層を指します。
例えば「娘が年ごろになった」と言えば、結婚を考える年齢に達したという意味です。
一方、古文の「年ごろ」は時間の経過や期間を表す言葉として使われます。
この意味の違いを理解しておかないと、古文の現代語訳で大きな誤訳をしてしまう可能性があります。
古文では「長い年月」という時間的な概念が中心で、現代語のような「特定の年齢」という意味はほとんどありません。
2.年ごろの品詞と文法的な働き

名詞としての「年ごろ」の使い方
「年ごろ」は基本的に名詞として使われます。
名詞なので、格助詞「の」「に」「を」などと組み合わせて文中で様々な役割を果たします。
例えば「年ごろの本意(ほい)なり」という表現では、「年ごろ」が「の」によって「本意」を修飾しています。
この文は「長年の望みである」という意味になります。
名詞として使う場合、他の語句と結びついて時間的な背景を示す役割を担っています。
副詞としての「年ごろ」の用法
「年ごろ」は名詞だけでなく、副詞的にも使われることがあります。
副詞として使われる場合は、直接動詞を修飾する形になります。
例えば「年ごろ遊びなれつる所」のように、「遊びなれつる」という動詞を修飾します。
この場合の意味は「長年遊び慣れていた場所」となります。
副詞用法では時間の継続や経過を動作に結びつける働きをしています。
格助詞と組み合わせた表現パターン
「年ごろ」は様々な格助詞と組み合わせて使われます。
| 組み合わせ | 使用例 | 意味 |
|---|---|---|
| 年ごろの | 年ごろの親しき人 | 長年親しい人 |
| 年ごろに | 年ごろになりぬ | 長年になった |
| 年ごろを | 年ごろを経て | 長年を経て |
最も多いのは「年ごろの」という連体修飾の形です。
「年ごろ」の後に格助詞を置くことで、文中での役割が明確になり、様々な表現が可能になります。
「ねんごろ(懇ろ)」との混同に注意
繰り返しになりますが、「年ごろ(としごろ)」と「懇ろ(ねんごろ)」は全く別の言葉です。
「懇ろ」は形容動詞で、「親しい」「丁寧だ」「念入りだ」という意味を持ちます。
例えば「ねんごろに語らふ」は「親しく語り合う」という意味です。
試験でこの二つを混同すると確実に誤答になりますので、読み方と意味をしっかり区別しましょう。
覚え方としては、「年=とし」「懇=ねんごろ」と漢字の訓読みと音読みで区別すると良いでしょう。
3.古典作品での年ごろの用例

「土佐日記」における用例と現代語訳
「土佐日記」には「年ごろ」を使った印象的な表現があります。
原文:「としごろよく比べつる人々なむ、別れがたく思ひて」
現代語訳:「ここ数年よく付き合っていた人々が、別れがたいと思って」
この例文では、作者と長年交流してきた人々との別れの場面が描かれています。
「年ごろ」が「ここ数年」という比較的近い過去を指している用例です。
別れの寂しさを際立たせるために、長年の交流という時間的な積み重ねが強調されています。
「更級日記」での使用例
「更級日記」にも「年ごろ」の用例が見られます。
原文:「年ごろ遊びなれつる所を、あらはにこほち散らして」
現代語訳:「長年遊び慣れていた場所を、外から丸見えになるように壊し散らして」
この文では、作者が長年親しんできた場所が壊される様子が描かれています。
「年ごろ遊びなれつる」という表現で、長い時間をかけて慣れ親しんだという感情が込められています。
場所への愛着が時間の長さによって強調される効果があります。
「栄花物語」の用例解説
「栄花物語」での「年ごろ」の使用例を見てみましょう。
原文:「年ごろの本意なり」
現代語訳:「長年の望みである」
この短い表現の中に、長い年月をかけて抱き続けてきた願望という意味が込められています。
「本意(ほい)」は「本来の意志」「本来の望み」という意味の名詞です。
「年ごろの」が「本意」を修飾することで、その願いの重みと時間的な深さを表現しています。
「平家物語」の年ごろ日ごろの表現
「平家物語」には「年ごろ日ごろ」という複合表現が登場します。
原文:「年ごろ日ごろ、これほど情けなかりける人とこそ兼ねてもおもはざりしか」
現代語訳:「これまでずっと、これほど情けのない人だとは以前には思わなかった」
「年ごろ日ごろ」は「常日頃」「これまでずっと」という意味の慣用的な表現です。
「年ごろ」と「日ごろ」を重ねることで、より長い継続的な時間を強調しています。
この表現は平家物語の木曾最期の段で、人物の意外な一面を知った驚きを表現しています。
その他の古典作品での登場シーン
「年ごろ」は多くの古典作品に登場する基本的な古文単語です。
「源氏物語」「枕草子」「徒然草」など、主要な古典文学作品のほとんどで使用されています。
特に人間関係や時間の経過を描写する場面で頻繁に用いられます。
また、和歌や漢詩の注釈文などでも、時期や年代を示す際に「年ごろ」が使われることがあります。
古文読解において「年ごろ」の理解は避けて通れない重要なポイントと言えるでしょう。
4.年ごろの訳し方のコツ

「長年の間」と訳すべき場合
「年ごろ」を「長年の間」と訳すのは、時間の長さに重点が置かれている文脈です。
例えば、長く続いた関係性や、長期間抱いてきた思いなどを表現する場合に適しています。
「年ごろの親しき人」であれば「長年親しい人」となります。
この訳し方は、過去から現在までの継続的な時間の積み重ねを強調したい場合に効果的です。
文章全体の雰囲気や前後の文脈から、時間の重みを感じさせる表現があれば「長年の間」を選びましょう。
「ここ数年」と訳すパターン
「年ごろ」を「ここ数年」と訳すのは、比較的近い過去を指している文脈です。
現在に近い時期の出来事や、最近の状況を述べる際に適した訳し方になります。
「年ごろよく比べつる人々」は「ここ数年よく付き合っていた人々」と訳せます。
この訳し方は、現在との結びつきを重視する場合に自然な表現となります。
文脈に「別れ」や「変化」などの要素があれば、「ここ数年」という訳が適切な場合が多いです。
文脈による訳し分けのポイント
「年ごろ」の訳は、文脈をしっかり読み取ることが最も重要です。
時間の長さを強調したい場面では「長年」、現在に近い時期を示す場面では「ここ数年」を選びます。
また、人物の年齢を述べている文脈では「年齢」「年のころ」と訳すこともあります。
前後の文章に時間を示す言葉があるか、感情的な深みがあるかなどを判断材料にしましょう。
一つの訳にこだわらず、文章全体の意味が自然に通るように訳す柔軟性が大切です。
「月ごろ」「日ごろ」などの類似表現との比較
「年ごろ」と同じパターンで「月ごろ」「日ごろ」という表現もあります。
| 表現 | 意味 | 期間の長さ |
|---|---|---|
| 年ごろ | 長年の間、ここ数年 | 数年単位 |
| 月ごろ | 数ヶ月の間、この数ヶ月 | 数ヶ月単位 |
| 日ごろ | 数日の間、日頃 | 数日単位 |
これらはすべて「ころ」が「幅のある期間」を意味することから生まれた表現です。
どれも「現在に至るまでの期間」を表すことが多いという共通点があります。
「年ごろ日ごろ」のように組み合わせて使うと、「常日頃」「これまでずっと」という強調表現になります。
まとめ
この記事では古文における「年ごろ」について解説してきました。重要なポイントをまとめます。
- 「年ごろ」は「としごろ」と読み、「ねんごろ(懇ろ)」とは別の言葉である
- 主な意味は「長年の間」「ここ数年」という時間の経過を表す
- 名詞と副詞の両方の用法があり、文脈によって使い分けられる
- 「土佐日記」「更級日記」「栄花物語」「平家物語」など多くの古典に登場する
- 現代語訳では文脈に応じて「長年の間」「ここ数年」を使い分けることが大切
- 「月ごろ」「日ごろ」など類似の時間表現も同じパターンで理解できる
- 「年ごろ日ごろ」は「常日頃」「これまでずっと」という強調表現になる
「年ごろ」は基本的な古文単語ですが、正確な理解が古文読解の基礎となります。この記事で学んだ知識を活かして、古典作品をより深く味わってください。きっと古文への理解が一段と深まるはずです。
関連サイト
国語辞典 – Weblio辞書